2015年4月15日水曜日

参考作品展示のお知らせ

多摩美術大学環境デザイン学科
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21_21 DESIGN SIGHT 企画展「単位展」
参考作品展示のお知らせ




多摩美術大学環境デザイン学科3年生インテリアコースの学生30名が、21_21 DESIGN SIGHT の協力により同会場で実際に開催される「単位展」をモデルとした会場構成を考える実技課題を行いました。10グループの作品の中から5作品を選出し展示を行います。みなさまお誘い合わせの上ぜひご覧下さい。


■日時:421()25()
    9:00〜20:30、最終日は15:00まで

■場所:多摩美術大学  八王子キャンパス デザイン棟1階ギャラリー

■担当教員:鈴野浩一、米谷ひろし

■展示作品紹介


展示では、30分の1模型やCGイメージを通して、学生達が思い思いに描いた「単位展」をご覧いただけます。コンセプトの構築から最終的な展示空間の落とし込みまでそれぞれ違う、5作品の個性をお楽しみください。









2015年3月22日日曜日

参考作品紹介

10作品の中から、参考作品として、5作品を担当の鈴野先生・米谷先生が選出しました。こちらではその5作品をご紹介致します。



   2班 奥村 晃、小山 杏夏、福泉 義人





コンセプト 私達は普段空間に隠れている単位を知って楽しんでほしいと考えました。私達がいる空間をグリッド(単位)化して訪れた人に空間に単位を感じてもらい、さらにグリッド化した空間に入り込んでもらえるような会場構成を狙いました。人は一定の変化、規則性から単位を感じとるのではないかと考え、ワイヤーメッシュを用い整然と並べたグリッド状の什器上に規則性を持って置かれたコンテンツに人は自ずと単位を感じることができます。
鈴野先生コメント 什器のワイヤーメッシュですが、途中の提案では物理的にも、イメージ的にも重すぎるとコメントしていましたが、最終で軽やかさが出ましたね。立体的な方眼紙のようでもあり、空間にも会うとおもいました。
プレゼンや全体のパースがうまく描けていたら良かったですね。



   5班 大湊 冬希、田浦 奈恵、吉田 れい





コンセプト 小学校と言う場には、子供の頃の発見する喜び、遊びながら身体で物を学ぶ楽しさがあります。私たちと単位との出会いは小学校にあります。
21_21 DESIGN SIGHTは子供、お年寄り、海外から来る人、アートに興味がない人、クリエイター…幅広い層のターゲットを持つアートミュージアムです。そんなミュージアムに空間の説明文など必要無いでしょう。来る人誰もがその空間に何かを感じ、知る喜びに気が付ける空間を“小学校”と言うコンセプトで伝えたいと考えました。

鈴野先生コメント 学びの場であることや子供のとき誰もが単位を体験した小学校をコンセプトとして家具的なスケールの什器から空間まで広げて行ったのは良かったです。CGもとても完成度が高くてリアルに想像させてくれます。
ただ什器のランダムなレイアウトが唐突に感じました。自由な動線ということからいきなりパースや図面に行きますが、単位展ということやポスターのイメージからグリッドのようなきっちりしたイメージも取り込みながらも自由な動線ということもできたのではないかなと思いました。



   6班 佐藤 一輝、須田 慈、葉玉 菜帆





コンセプト 単位展のサブタイトルである「あれくらい、それくらい、どれくらい?」を空間コンセプトとしました。この言葉に様々な単位と自分の知識、経験からイメージできる単位とのギャップのような距離(下記)を感じました。空間構成において自身と単位・作品との距離を徐々に埋めていく事が重要だと考えました。そこで空間に『Laboratory』の様なイメージを与え、一つひとつの単位・作品と向き合い検証していける空間としました。
あれくらい…経験した事がある、(頭の中で)例えに出せる
それくらい…身近な所で比べられる、実物があればわかる
どれくらい…経験した事がない、イメージつかない

鈴野先生コメント 単位展のサブタイトルであるテキストからひろげていって貰うやり方にはとても共感持てます。
また5班(大湊・田浦・吉田れいのグループ)同様 CGもとても完成度が高くてリアルに想像させてくれます。
アプローチや表現方法はいいのだが、空間イメージとして突如ラボラトリーのイメージということが出てきて既存の照明がある上での新たな照明やステンレスの什器などは予算的には非常に現実離れしており、そこにアイデアが求められている点を考えて欲しかったです。



   7班 方山 玲子、土井 史暁、前野 慧




  
コンセプト 方眼紙を構成要素として利用しました。方眼紙上に展示物がぴったりおいてあるだけで、長さや、面積、体積など目に見えない大きさが見えてきます。方眼紙は展示台、壁、キャプションなどで使われ会場が綺麗な水色でそまります。

鈴野先生コメント 方眼紙というのをきっかけに空間に広げて行ったのはおもしろい視点かと思います。長い什器も空間に対しおおきな定規のような迫力があります。
サインやグラフィックとの相性もいいでしょう。ただグラフィック的な要素に加え、素材感やもっと什器のアイデアもあれば良かったです。



   8班 神農 志織、佐々木 楓子、吉田 岳





コンセプト 単位はモノゴトに関係性をもたせ、広がりやつながりをつくるものではないかと考えました。単位というフィルターを通して、様々なことを人は意識します。そして、’意識する'ということにわたしたちは注目し、空間構成をしました。単位というフィルターを空間のしきりとして具現化させ、什器と同じように、高さに変化をつけました。身体全体で単位を感じて、新たな発見の場となるような、空間をわたしたちは提案します。

鈴野先生コメント 高い視点から見られる場所をつくったり、緩やかに閉じながらもつながることのできるのれんのようなサインなどアイデアはいいですね。金額的もかかってくるのれんなどを魅力的に伝える画や説明などでもっと伝えてほしかったです。


2015年3月21日土曜日

1月6日(火)講評会

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お正月が終わり、あっという間に講評会はやってきました。
講評会の会場は、デザイン棟1階ギャラリーです。
まず学生たちは、作品をデザイン室や自分の家から運び出し、お昼頃に提出します。



今回の模型は大変大きく、運ぶだけで一苦労です。

それぞれ、焦りや不安が入り交じった気持ちが落ち着かないままに、講評会は始まりました。



講評会には、担当の鈴野先生、米谷先生と、ゲストとして中村至男さん(展覧会グラフィック)、岡本 健(会場グラフィック)、寺山紀彦さん(studio note/展示構成)、五十嵐瑠衣さん(会場構成協力)前村達也さん(21_21 DESIGN SIGHT/企画進行)にお越しいただきました。
ただでさえ、緊張する講評会ですが、こんなに沢山の方々に見ていただくとなると、マイクを持つ手も震えてきます。




プレゼンテーションは、主に模型とパワーポイントを使って行います。
目の前の模型とその模型中の空間に入ったとき見えるであろうイメージを模型写真やCGで表現し、見ている人に魅力を伝えます。




模型はかなり詳細まで作られているため、覗き込むようにしてみると、まるで展示空間に入り込んでいけるようです。

こちらのグループは展示品のひとつひとつまで模型で再現しています。




対して、こちらのグループは、得意なCGで空間を表現しています。CGは模型とはまた違い、本当に21_21 DESIGN SIGHTで写真を撮ったのではと思う程です。



また、模型だけではなく、実寸大の什器を作ったグループもありました。






このように実際に目の前に本当の大きさのものがあると表現したい空間をよりいっそう力強く伝えられます。

また、展示の際に配布する会場案内図のサンプルを作って配ったグループもありました。



この会場案内図には、見る人を楽しませる仕組みがあり…



表に会場案内図、裏に展示コンテンツのひとつの「施設単位変換」を白抜きで印刷した紙を光にかざすことで、2つを同時に見比べながら展示を回れます。
色々な人が案内図を光に透かしている様子は、見ていてほっこりしました。

そして、学生とゲストのみなさまのディスカッションは、とても深いものとなり…













気がつくと、講評会が始まって5時間が経過していました。
今日まで模型とパソコンにへばりついて制作してきた学生達もヘトヘトですが、ゲストのみなさまには長時間お付き合いいただき、かなり体力を消耗された事と思います。たくさんのご意見、誠にありがとうございました。

こうして、およそ2ヶ月続いた本課題が終了となりました。
3年生達は、自分のデザインに手応えを感じたり、なかなか上手くいかず悔しい思いをしたりと、思いは様々なようですが、3年生最後のこの時期にリアルな課題に取り組めて、確実に成長したのではないでしょうか。

最後に、先生方とゲストのみなさまから、総評をいただきました。

みなさまの総評を、こちらでもご紹介させていただきます。





【担当教員とゲストの皆様の総評】

単位展というリアルなプロジェクトを考え始めるところから提案する時期とまさに同じタイミングでした。
同時期に一緒に並走しながらできたのは私としても新鮮でした。
単位展の展示の内容もゼロからこのために作るものばかりですので、ぎりぎりまで変わって行きますので、まだ見ぬできてない展示や企画を想像しながらの会場デザイン苦労したと思います。これから単位展だけでなく他の展覧会に行っても今まででみていたところとは違うところをみていると思います。
課題としては終わりましたが、その後様々な展覧会をみるたびにいろいろな視点でみて考え続けてもらえたらと思います。
担当 鈴野 浩一(トラフ建築設計事務所/「単位展」会場構成監修)


課題ご担当の鈴野さんをはじめとして、関係していただいたすべての方々に感謝いたします。現在進行形の案件をあそこまでオープンに解説いただき、贅沢な中間講評があり、そして最終講評にもご参加いただき、結果的にはお互い新鮮に感じられるような期間だったことを幸せに思います。学生にとっては、学内に不足しがちな現場の養分を吸収することができたことが何よりも良かったと思います。それと実際の現場では複数名が協働するものなので、今後さらに理解を深めていってもらえれば良いかなと思います。
担当教員 米谷 ひろし(トネリコ)


このたびは、本当にお疲れ様でした。
現実の案件を課題に出来るのはおもしろいですね。
自分もこういう課題を学生時代にしたかったと、みなさんをうらやましく思いました。
全体がいいチーム、部分がいいチーム、仕上げがいいチーム、考えがいいチームなど、様々な詰めや連携を見せていただき、とても興味深かったです。
また、寸評をさせていただいたことで、ともすれば職業的な慣れや方法論で思考を止めてしまう、社会人的な自分を見つけて反省もしました。
みなさんのがんばりを見て自分もがんばろうと思いました。
ありがとうございました。
ぜひ会場にも遊びに来てくださいね。
中村至男(「単位展」展覧会グラフィック)

単位という文脈からの様々なアイデアを拝見し、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。皆さんの自由で柔軟な発想や、プレゼンテーションとしての定着を目の当たりにし、身の引き締まる思いでした。今回の取り組みを通して、実際の展覧会も楽しんでいただければ幸いです。
岡本 健(「単位展」会場グラフィック)


色々な角度からのプレゼンを楽しくみさせて頂きました。中間発表では似たような見栄えの物があったのですが、最終的には個々の班の個性が出て面白かったです。
この課題は最終的に実際の展示会を見ることが出来ることが重要な部分だと思います。展示会場にて「ここはこうなったのか」「なんでこうしたのかな?」「あの案は何でなくなったのか、、」「文字のサイズはこの大きさか!」など考えながら展示をみるとより勉強になると思いますので、会場に来て楽しみながら検証してみてください。
寺山紀彦(studio note/「単位展」展示構成)